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リビング・ウィル(尊厳死宣言

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リビング・ウィル(尊厳死宣言)とは

 

 リビング・ウィルとは、直訳すれば「生前の内(リビング)に効力を発する遺言(ウィル)」、一般的には尊厳死宣言のことで、判断能力のあるうちに“事前の治療拒絶宣言”として『将来末期的な病状を迎えた時に判断能力が衰えあるいは無くなっていた場合には、過剰な延命措置をとって欲しくない』旨を文書に明記したもののことをいいます。
 余談ながら私の母は60代半ばにして胃ガンでこの世を去りましたが、最期の頃は体の各所からチューブが伸びた、いわゆる「スパゲッティー症候群」の状態でした。そんな切ない病室の情景は私と同様に重い病でご家族やご友人を亡くされた方には多少の差こそあれ共通する経験ではないでしょうか。私自身は母のそのような死にざまを経てもまだ尊厳死に諸手を挙げての賛成はし兼ねるのですが、「回復しないのなら、自分は長々と延命措置をされるのは真っ平だ。」と考える人もあるでしょう。しかし、医師は患者の生命を尊重するがゆえに延命に全力を挙げるのが仕事であって、いくら患者のためだと思っても個人的な考えで命を縮める行為をするわけにはいきません。
したがって医師に延命措置を中止する判断を委ねることは不可能ですから、自分の死に際に危惧を感じる人は自らの明確な意思表示が必要となるわけです。
 言い換えればリビング・ウィルは自分の死に際・死に方の自己決定の形です。
 

 なお、尊厳死とは上記のように、末期の状態に患者が自分の意志で無駄な延命治療は拒否して自然に死を迎えるやり方であって、苦しむ患者を見るに見かねて、本人の意思とは関わりなく薬物等を使って周りが患者を楽にしてあげるという安楽死とは似て非なる考え方です。

 オランダでは、いくつかの厳格な条件をクリアすれば、尊厳死が認められていたり、アメリカでは、死に至るための薬剤や自殺用機械を使用しない自然死、いわゆる消極的尊厳死を認める「自然死法」が多くの州で制定されているようですが、日本ではまだそのような法律は制定されていません。それでもわが国でも、徐々にリビング・ウィルは行なわれるようになってきました。日本尊厳死協会(医師と患者が協同して尊厳死実現に取り組む我が国における草分けの団体)
でも書式例を示してリビング・ウィルを勧めています。

 もとより、リビング・ウィルは法定遺言事項(遺言に書いて法的に効力を有する事柄)ではありませんし、リビング・ウィルが死亡直前の事項に関することであるのに対して、遺言は死亡後の事項に関することです。したがって、リビング・ウィルを遺言に付言するのは適切とは言えません。
 また、リビング・ウィルは担当医師を法的に拘束する力はありませんが、延命治療の中止について検討される段階において、宣言した患者本人の意思を推定し、確認する有効な証拠となりうるものです。


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尊厳死宣言書の例(私製・日本尊厳死協会の書式例)

 

               尊厳死の宣言書(リビング・ウィル)

 私は、私の病気が不治であり、かつ死期が迫っている場合に備えて、私の家 族、縁者ならびに私の治療に携わっている方々に次の要望を宣言致します。
 なお、この宣言書は、私の精神が健全な状態にあるときに書いたものです。
 したがって、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が破棄するか、又は撤回する旨の文書を作成しない限り有効です。
1 私の病気が、現在の医学では不治の状態であり、既に死期が迫っていると診
  断された場合には、いたずらに死期を引き延ばすための延命措置は一切お断
  り致します。
2 ただし、この場合、私の苦痛を和らげる措置は最大限にして下さい。
  そのため、たとえば、麻薬などの副作用で死期が早まったとしても、一向に
  構いません。
3 私が、数ヶ月以上にわたって、いわゆる植物状態に陥ったときは、一切の生
  命維持措置を取り止めて下さい。
 以上、私の宣言による要望を忠実に果たして下さった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従って下さった行為の一切の責任は私自身にあることを付記致します。
      平成○○年○○月○○日
                      平成○○年○○月○○日生
                   氏名    甲野 太郎    印
                   住所 名古屋市○区△△1丁目2番3号

 ______________________________________
  

  ※この文面を行政書士が行政書士法第1条の2に基づく事実証明に関する書類として作成し
   た場合は、事実証明付尊厳死宣言書になります。

 

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尊厳死宣言公正証書の例

 

  

 

平成〇〇年第〇〇号
              尊厳死公正証書
 
 本公証人は、嘱託人甲野太郎の嘱託により、平成〇〇年〇〇月〇〇日、標題の件に関し、後記のとおり陳述の趣旨を録取し、私権事実に関する公正証書を作成する。
第1条 私、甲野太郎は、私が将来何らかの病気に罹り、それが不治のものであ
 り、かつ、その病気が原因
で死が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の
 医療に携わる方々に、自らの死の在り方について、次の
通り希望を述べます。
  私の病気が、担当責任医を含む2人以上の医師の客観的・医学的知見によっ
 て、不治の状態にあり、かつ、
死期が迫っていて、延命措置を行うと否とにか
 かわらず死に至り、その延命措置が単に死の過程を人為的に
引き延ばすだけで
 あると診断された場合には、苦痛を伴う手術や延命のみを目的とする措置は極
 力避け、
苦痛を和らげる最小限の措置にとどめて、人間としての尊厳を保った
 安らかな最期、すなわち尊厳死が迎えられるようにご配慮願います。
第2条 私がこのような尊厳死を望む理由は、○○○○○○などの事情によるも
 のです。
第3条 最近、医療技術の高度化、専門化に伴い、医療費は際限なく高額化し、 
 患者と家族の経済的負担が深刻な悩みとなっており、私は、この観点からも必 
 要不可欠な医療措置以上のものは望みません。
第4条 この公正証書は、あらかじめ私の家族である
     妻 甲野花子  昭和〇〇年〇〇月〇〇日生
    長男 甲野一郎  昭和〇〇年〇〇月〇〇日生
    二男 甲野三郎  昭和〇〇年〇〇月〇〇日生
 の了承を得て作成を依頼し、私に第1条記載の症状が発生した際には、上記の 
 家族と私の担当責任医を含む2人以上の医師とが合意の上、本公正証書に基
 き、上記の私の意思が最大限尊重されることを期待致し
ます。
第5条 警察・検察の関係者におかれては、私の家族や医師が私の意思にそった
 行動を執ったことにより、
これらの者を犯罪捜査や訴追の対象とすることのな
 いよう特にお願いします。
第6条 このような希望は、私自身が現在身心ともに健全な状態にあるときにし
 たものです。したがって、
私自身が有効な破棄又は撤回をしない限り、その効
 力を持続するものであることを明らかにしておきます。
 
 以上のとおり録取して嘱託人に読み聞かせたところ、誤りない旨承認し、次に署名押印する。
 
             (署名)      甲野 太郎    印 
       
                                 以上
                 本旨外要件
                 (以下略)   
       
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